インタビュー

チュウ『Only cry in the rain』“カッコウ”という歌詞が示したもの [EN:Boxing]

※本ページはプロモーションが含まれています

歌手チュウのプロローグとなる「Only cry in the rain」[EN:Boxing]

「Only cry in the rain」制作記③【アルバム編】



ソロとしては3枚目のミニアルバムとなる歌手チュウの「Only cry in the rain」。これまでのアルバムとつながりを持ちながらも、より成熟したチュウの姿を見ることができるという点で、制作者にとっても特別なアルバムだ。
全体的なコンセプトや曲集め、歌唱やレコーディングといった基本的な部分だけでなく、アルバムをより広く、より深く鑑賞してほしいという思いから、事前プロモーションの一つ一つにまで気を配った。セキュリティ認証を連想させる個性的なティーザー画像からストーリーテリングミュージックビデオに続き、試聴会と展示会まで用意した。

-3枚目のミニアルバム「Only cry in the rain」は【感情】に集中するアルバムと主に紹介されていますが、企画意図が気になります。

キム・ジンミ代表:最初のソロアルバム「Howl」が感情を初めて外に叫ぶ勇気だったとしたら、「Only Cry In The Rain」は感情を静かに抱きしめる方式に近いです。私たちは生きていく中で、感情を隠したり、押し殺してしまうことが多いのですが、今回のアルバムは、そのような感情が実は心のどこかで静かに「待っている」というメタファーから出発しました。

【雨の日】という設定は、そのような感情が自分自身に許されるごくまれなタイミングを象徴しています。まるで、泣ける日が決まっている人のように。 このアルバムは、扱いにくい感情に対する穏やかで比喩的な試みでした。

何よりも重要なのは、このアルバムがチュウというアーティストの感情的な成長の物語であるということです。いつも明るいエネルギーで愛されてきたアーティストが自分の感情を見つめ、向き合い、表現することは決して簡単なことではありません。 しかし、その挑戦が自然でしっかりと溶け込んだアルバムです。

感情というのは、いつも「自分だけの物語」のように思えますが、実は「一緒にいた瞬間」から生まれるものでもありますよね。このアルバムにも、そんなチュウの物語が詰まっています。チュウのアルバムは、初ソロからずっと少女とそのそばにいる友達、そして青春の友情について語ってきました。

いつもそばにいた二人のモンスター、あるいは友達、彼らが一緒に経験した忘れられない季節と時間が込められています。「Howl」の爆発的な感情の叫び、「Strawberry Rush」のエネルギッシュさ、今回の「Only cry in the rain」まで、そのすべての感情の結実を静かに抱きしめながら続く連作のようにも感じます。

表向きは感情を中心としたアルバムのように見えますが、その中にはやはり「私たち」があります。一人で泣いているシーンも友達と一緒にいた記憶の上にあり、ステージ上のチュウも、ステージ外のチュウも実はいつも「誰かと一緒」だったというメッセージを静かに隠しています。感情は孤独なものですが、共感はいつも一緒にいるものですから。




-「Only cry in the rain」のティーザーの中で、CAPTCHA(セキュリティ認証)画面形式の9カットティーザーが目立ちました。企画意図をお聞かせください。

キム・ジンミ代表 : 核心テーマである【感情】を初めて視覚言語で表現する出発点であり、それを最も象徴的に示すことができる装置が必要でした。このティーザーを通じて、アルバムの全体コンセプトを自然に推測できるようにしたかったのです。

CAPTCHAの形式を取り入れた理由は、感情というのは本質的にロボットから最も遠い領域だからです。しかし、皮肉なことに、人間の感情もある瞬間に「証明」を求められることがあります。悲しい理由を説明しなければならない、心を出して見せなければ理解されない瞬間のように。だから、このティーザーは単にコンセプトを伝えるだけでなく、「今、この感情に向き合う準備はできていますか?」という静かな問いを投げかける装置になりたいと思いました。

続く9枚の画像は、90年代のアナログ写真のぼんやりとした質感を加えて、アルバムの情緒を想像してパズルのように組み立てるような誘導装置でした。このアルバムはどんな物語を語るのだろう」という質問を自然に思い起こさせたかったんです。表題曲の歌詞に登場する「定刻」を象徴する時計、収録曲『Kiss a kitty』に繋がる窓の外の猫、傘をかけた停留所とアスファルトを歩くチュウの姿は、すべて今回のアルバムのテーマである「記憶の中の感情に歩み寄る時間」を視覚的に比喩した要素です。


-アルバムのジャケットやハイライトメドレー、『Only cry in the rain』のミュージックビデオにもアニメーション効果がありますが、このようにした理由が気になります。

キム・ジンミ代表 : 『Only cry in the rain』でアニメーション技法を積極的に活用したのは、現実と記憶の間の隙間をスムーズに埋める感情的な媒体が必要だと感じたからです。 記憶というのは本質的に不完全で流動的な感情の断片です。 時間が経つにつれてぼやけたり、塗りつぶされたり、時には歪んだりします。 しかし、このような感情の微細な波動と不確実性をリアルな映像だけで表現するには、明らかに限界がありました。

そこで、アナログ的な感性の上に、アニメーションという記憶の余白と想像のレイヤーを加えようとしました。 例えば、涙を流すアスキーアート少女のオープニングのティーザー、ハイライトメドレーで感情が伝播するような涙の動き、ミュージックビデオの中で現実のシーンと交差する小さなアニメーションの断片、これらすべての試みは、感情をより感覚的に、より流動的に伝えるための装置でした。まるで、ぼんやりとした記憶の中で唯一鮮明に残っている一片の感情、または消えた後に初めて残る感情の残像のように。

特に今回のアルバムは、青春の感情と忘れ去られつつある記憶、その間を浮遊する心について語っているので、現実的なシーンとアニメーションという感覚のレイヤーを配置することで、お互いの感情をより深く響かせることができると思いました。結果的に、アニメーションはこのプロジェクトで「記憶を生き返らせる方法」であり、私たちが忘れられない感情の形象化であると言えます。




-アルバムを見ると、CDサイズは小さいですが、黒いCDホルダーを一緒に入れてLPのような感じもあり、手紙やムードカット写真、ステッカーなどで構成されています。表紙も2種類ですが、アルバムのデザインと構成品、パッケージング作業の裏側が気になります。

キム・ジンミ代表:今回のアルバムは、単なるレコードというよりは、90年代のアナログ感性とデジタル世代の感覚が交差していた時代にオマージュを捧げ、青春の記憶をどのように「記録」できるのかという探求から出発しました。

音楽を聴くという行為だけでなく、「所有し、保管し、再び取り出す」感覚的な経験になることを望み、ファンが自分の感情と好みをアルバムの上に直接重ねることができるように、パッケージ全体を「収集可能なアーカイブ」として構成しました。

アルバムは、青春の空気感が違うという意味で、ブルーバージョン【青い感情】とグレーバージョン【不安と成長】の2つを企画しました。同じ青春を生きていても、その色はそれぞれ違うというメッセージを込めました。それぞれのパッケージが誰かにとってはより暖かく、誰かにとってはより冷たく記憶されることを望みました。

CDはミニLPの形でデザインし、様々な形のステッカーを一緒に提供し、ファンが自分だけの方法で飾ってコレクションできるようにしました。 単なるレコードではなく、それぞれの感情が込められた一つのオブジェとして完成するのです。

カッコーの折り紙を入れたのは、このアルバムの核である「カッコー時計(日本でいう鳩時計)」から着想を得た仕掛けです。感情を取り出す象徴であり、それぞれの記憶を自分で折りたたんで残す体験を作りたかったんです。きれいに折らなくてもいいし、破れてもいいし、どこかに無造作に貼り付けてもいい。そういう些細な痕跡が、結局誰かの【記憶の残し方】だと思うんです。

だから今回のパッケージは一種の感情のアーカイブです。誰かの青春、あるいはまだ終わっていない心のかけらを大切に保存できる小さな感情の箱になればいいなと思っています。




-アルバムにはチュウさんからの手紙も収録されていましたが、今回のプロジェクトを「雨の日の手紙」とするならば、代表さんはその手紙の最後の一文をどんな言葉で書きたいですか?

キム・ジンミ代表:本当にそう表現してくれるなら、このアルバムが「雨の日の一通の手紙」だとしたら、最後の一文はたぶんこんな感じにしたいですね。

「泣いてもいいよ、私はあなたの気持ちを知っているよ。」

その言葉が大きすぎたり、大げさにならないように、むしろ何も言わずに、窓の外を一緒に眺めてくれるような感じだといいなと思いました。 このアルバムは答えを出すためのアルバムではなく、感情を扱える空間を開くための作品でしたから。

ミュージックビデオが公開された後、「この曲で癒された」「泣きたいときに聴ける曲ができた」というコメントを見たとき、本当に嬉しかったですね。 まさにそういう気持ちを伝えたいと思っていたので、誰かに静かに、「その気持ちわかるよ」って言ってもらえるアルバムで十分だと思いました。

実はこの手紙の最後の一文は、必ずしも言葉である必要はないと思うんです。 音楽はそれ自体で記憶になり、思い出になり、慰めとなる力があるんです。 聴き終わった後のあの余韻、静かな慰め、自分だけが知っている余韻みたいなものが、その役割を代弁してくれると信じています。

結局、私たちが信じているのは、言葉よりも先に届く感情であり、それを一番うまく伝えられるのが音楽だということです。
このアルバムの最後の文章は、音楽が代わりに書いてくれた文章だと思います。


-アルバム発売前の4月19日から21日まで、聖水洞ムービーランドで試聴会と展示を行いました。 このようなプロモーションを企画した理由と、期待した事とがどの程度達成されたか聞きたいです。

キム・ジンミ代表:今回の試聴会を企画した最も大きな理由は、「Only cry in the rain」が扱っている【感情】というテーマを単純な音楽鑑賞にとどまらず、空間全体に立体的に拡張してみたかったからです。

曲ごとに流れる感情の線や物語を、音楽、オブジェ、映像、展示要素などと一緒に、聴覚だけでなく視覚的にも体験できるように設計したかったので、試聴会の場所も【記憶】と【感情】というテーマを自然に抱くことができる場所である必要があり、実際のミュージックビデオが16㎜フィルムで撮影された映画的な感性を持つという点で、その感性を最も完全に込められる空間として「ムービーランド」を選びました。



キム・ジンミ代表:特に2階のラウンジスペースは、感情の残響、つまり「記憶の残像」が残る展示空間として演出しました。実際のミュージックビデオ撮影に使われたフィルム小道具や、物語をアーカイブするように構成したコンテブック、そしてアルバムの中の感情的な象徴を視覚化したオブジェを通して、観客がこのアルバムの感情の流れをより身近に、まるで小さな映画の一編を追うように体験できる時間になったことを願っています。


-最初にアルバムを作る時に最も重点を置いた部分は何ですか?そして現在アルバムが完成した時、当初のその目標がどの程度達成されたか説明してください。

キム・ジンミ代表:毎回、チュウのソロアルバムを企画する際に最も重要視したのは、芸能界で見せた親しみやすく愛らしいイメージの向こうにある「歌手チュウ」の声を真摯に表現することでした。チュウは独特の明るいエネルギーで多くの人に温かい印象を与えるアーティストですが、その裏側にはもっと繊細で慎重な内面があると思っていました。音楽の中では、その感情に光を当て、言葉ではなく歌で見せたいと思いました。

特に今回のアルバム「Only cry in the rain」は、単に歌が上手い歌手ではなく、感情を伝えるアーティストとしてのチュウのアイデンティティをより強固にしたかった作品です。感情を吐き出すことがぎこちなさや負担にならず、むしろ自然に受け入れられるように、その流れをチュウ自身も納得して消化できるように、企画の段階からチュウとたくさん話し合いながら作っていきました。

アルバムが完成した今、ディレクターとして完璧だったとは言い切れません。いつもそうですが、「もうちょっと押さえるべきだった」「ここはこうすればよかった」という後悔は残りますが、チュウというアーティストが音楽に向き合う姿勢にますます自信を持ち、自分らしさを見つけ始めたということだけでも、このアルバムはとても有意義な作業でした。

完成ではなく、方向性を失わず進むこと、それが私が一番大切にしている価値観です。『Only cry in the rain』はその出発点であり、チュウという歌声がどのような物語を語ることができるかを示すプロローグのようなアルバムだと思います。


2025.05.10【No-Cut News】

何故かたまに聴きたくなる数少ないソロアーティストの一人、元イダレ・チュウの先月4月21日に発売された3集ミニ「Only cry in the rain」がCBSノーカットニュースの「ENボクシング」というロングインタビューに取り上げられていました。本人または関係者の生の声を通して、アーティスト・作品の裏側を探る趣のこのインタビューは毎回製作者へのリスペクトに溢れる好企画なだけあって、アルバムコンセプトからフィジカルパッケージ等のプロモーション、はたまた所属事務所ATRPキム・ジンミ代表のアーティスト・チュウへの愛情も感じられて大変興味深く読ませてもらいました。
このキム・ジンミ代表という人は元々FNCの創立メンバーでもあり、ATRP設立以前は記事でも見られるようにWMエンターで始全アーティストの制作側の統括責任者としてバリバリ活躍されていた人らしく、チュウのソロにおいても丁寧なプロデュースワークが目を惹きます。

今回のアルバムは前作にも数曲参加、このブログ的にもまたまた登場のライアン選手が今回は全曲参加して、前作である “一人IVE” のような「Strawberry Rush」よりは作品としてアルバムのまとまりは良くなった気はします。個人的には一貫したシンセサウンドのエレポップでありながらも、SSW然とした深みのある曲想が多い1集「Howl」こそが “チュウらしさ” でより魅せられた作品だったので、 ライアンといういかにも「ヒット曲が欲しかったのかな?」とうがった見方をしてしまいそうな人選にはちょっと疑問。単にそれこそオマゴルを始めとするWM時代からのよしみなのでしょうけど、チュウとはちょっと合わないのではないかな。逆に「Howl」ぶりの登板となった作詞家ソ・ジウムさんとの組み合わせはイマジネーティブな世界観と相まって大好き。ちなみに2曲目『Back in town』の作詞は彼女の妹さんソ・ジョンアさんが担当しています。

I.O.Iまで復活という噂も出てきた昨今、OrbitもまたLoossembleの契約終了以降より「MODHAUS合流か?」「今月の少女、完全体カムバックか」と期待を込めた高い関心を元メンバー達に注いでいます。その際には、おそらくはピョンギ統括の下というのがほぼ全Orbitの理想だと思われますが、そんな奇跡の軌跡が見れるならば、チュウ~Loossemble~イブのライアンラインからビッグバンが起きたとしても面白そうだし、より現実味のある展開にも感じられます。まだまだ実際には様々な問題があり過ぎて難しいのでしょうが、そんな夢のような出来事は「LOONAbirth10周年」まであと3年、大切に胸のポケットにしまっておきましょう。

Kポップを代表する「人間ビタミン」チュウもすっかり大人。早いものでアイドル歌手よりソロ・アーティストと呼ばれた方が似合う素敵な女性になりました。もちろんコンテンツでは一生あの感じで行ってほしいですが、年1カムバというソロとしてはかなりコンスタントなペースで順調な様子のアーティスト活動もこれからも並行していつまでも彼女の心の平穏も続いてほしいと願わずにはいられません。

-インタビュー
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